My sweet lover
谷口さんとあたしは、厨房に戻ってまた食事を再開した。


「はぁー、びっくりしたわねー」


「ホントですよねー」


由梨があんなに綺麗になるとは…。


おかしいな。


入社したての頃は、あたしの方が断然綺麗だったはずなのに、今はどう考えても負けている気がする…。


「沙希先輩~。さっきの美人は誰ですか~?」


美香がパスタを頬張りながら問いかける。


「え?あぁ、あの子ね、あたしと同期の水沢由梨よ」


「同期なんですか~?信じられな~い」


「ちょっ、美香。どういう意味よ」


「だってあの人、むちゃくちゃ仕事出来そうじゃないですか~」


「アンタねぇっ!」


失礼しちゃう。


確かに由梨は、仕事がよく出来るけどさ。


「-で、あの人何しに来られたんですかぁ?」


「あぁ、社長に何か報告があるとかで」


「社長に~?え~やだぁ!あんなスタイル良い人、ちょっと心配~」


思わずフッと鼻から息を吐いた。


美香は入社した当時から社長に憧れていて、いつも社長に猛アプローチを繰り返している。


全く相手にされていないけれど…。


「あ~あ、社長ってほんっとクールでかっこいいですよね~。

でも先輩、知ってました~?

社長って右手の薬指に指輪つけてるんですよ~。

もしかして、恋人がいるのかなあ」


社長が指輪?


全然気づかなかったな。


さすが美香。よく見てるわね。


へぇ…、社長って恋人がいるんだ。


どうりであれだけモテるのに、女性に対して冷たいわけだ。


それにしても。


由梨は、社長に何の話があるのかしら?

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