My sweet lover
「ここだよ」


そう言って朝日さんが指差すのは、打ちっぱなしのコンクリートが印象的なマンション。


鮮やかな青色の扉を開け、朝日さんと一緒に入る。


ピッピッと暗証番号を押すと、自動ドアが開いた。


「階段で上がるよ。ここの3階」


朝日さんの後に続いて階段を登ると、二人の靴音がコンコンと辺りに響き渡る。


3階には3つ扉があり、一番奥へと朝日さんは進んで行った。


鍵を開ける後ろ姿を眺めていたら急に緊張してきて、私は朝日さんに聞えない程度の小さな深呼吸をした。


「どうぞ」


重そうなドアが開かれ、言われるまま中に入ると。


「わ、あ…」


広い。


うちよりずっと広いや。
 

「中も打ちっぱなしなんですね」


「うん、そうだよ」


壁にそっと触れてみる。


ひんやりと冷たい。

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