猫に恋する、わたし
「ほんとにあんなスケコマシのどこがいいんだか」
二人が出て行くところを見送るわたしの隣で、菜々緒が呟くようにいった。
「殴ってやりたいわ」
菜々緒の言うとおりだ。
どうして、わたしは彼のことが好きなのだろう。
どうして、嫌いになれないのだろう。
こんなにも胸が引き裂かれそうに痛くてたまらないのに。
、、、、、、、、、、、、、、
お姉ちゃんのことがあったから?
もし彼がお姉ちゃんと出逢っていなかったら。
ううん。
彼が初めて好きになった人が、わたしのお姉ちゃんじゃなかったら。
わたしはきっと彼のことを好きになることはなくて、
今と違う未来があったのかもしれない。