猫に恋する、わたし
背中に突き刺さる視線。
恐る恐る振り向くと、さっきまでの笑顔はどこにいったのか、険しい顔で彼がわたしを睨んでいる。
声に出さずとも、彼の言いたいことは分かっていた。
放課後、わたしは誰もいない教室に呼び出された。
夕焼けのオレンジ色に染まった教室は、なんだか幻想的で昼間と少し違って見える。
告白するならこの場所が定番化しているのも納得。
彼は窓際の一番後ろの席で壁にもたれながら、ブラックフードを被って目を閉じていた。
夕日の光で長いまつげが影を落として、彼がいつもよりも増して輝いて見える。
わたしはしゃがみ込んで、彼の寝顔を見上げた。
やっぱりかっこいいな。
ずっと眺めていたいぐらい。
ふいに、彼が目を覚ました。
わたしがいることに気付くと、天使だった寝顔が嘘みたいに、苦虫を噛み潰したような顔でわたしを見下ろした。
「見てんじゃねえよ、ブス」