猫に恋する、わたし
イタズラ
翌朝、ホームルームに入っても窓際の一番の後ろは空席だった。
いつものように遅刻してくるんだろうと思いながら向かいの校舎の屋上に彼の姿がないか目で探していると、担任教師の浅田先生が言った。
「羽生君は風邪でお休みすると連絡がありました。連絡票を届ける人がいたら放課後、職員室まで取りに来なさいね」
あっ、とわたしは昨日のことを思い出していた。
ー明日風邪引いたらあんたのせいだかんな。
あの寒い中、屋上で寝ていたせいだ。
ホントに風邪、引いちゃったんだ…。
呼び出したのはわたしだから、なんだか責任を感じてしまう。
放課後、わたしはこっそり彼にメールを打った。
《大丈夫?》
数秒もしないうちに返事が返ってくる。
《大丈夫じゃない。暇。腹減った》
…これは、たぶん怒ってる。
うんなんとなく。絶対。
《熱は?病院行った?》
《薬嫌い。熱は下がった。腹減った》
《何か買ってこうか?》
《ポカリと弁当買ってきて》
《分かった》