猫に恋する、わたし
「あの、この子に何の用ですか」
と菜々緒が間に割り込む。
「ううん別に。ただどんな子なのかなってちょっと話してみたかっただけ」
「…」
「食堂で羽生君があなたと一緒にいるの見かけて、でも」
麗美先輩はパーマのかかった長い髪をかき分けながら、おもむろにわたしを見下ろした。
「なーんだ、近くで見るとあなた冴えない女の子だね」
わたしは察知した。
もしかして、この人ーーー。
「羽生君には不似合いだから、身の丈にあった男を選んだほうがいいんじゃない。ほら、さっき話してた宮川智充君とか。あの子もかわいい顔してるわよね」
、、、、、、
要は、彼に近づくなってこと。
この人はわたしに警告してるんだ。
「何それ、なんであなたにそんなこと言われなきゃいけないんですか。羽生君の彼女でもないくせに」
菜々緒の言葉が癇に障ったのか、麗美先輩は顔色を変えた。
眉間に皺を寄せて、わたしと菜々緒を睨みつける。
「ガキが生意気言わないでよ。とにかく羽生君にあなたはふさわしくないから。これ以上羽生君に近づいたら何するか分からないよ」
それまでの柔らかい口調が嘘のように豹変した。