嗤うケダモノ
その決意を実にアッサリ翻したのは、18才の時だ。
ある日私は、煎餅をバリバリ齧りながらTVを観ていた。
放映されていたのは、安っぽい心霊番組。
高名霊能者と銘打ったオッサンが、写真に憑いた悪霊とやらを祓うために唾を撒き散らしながら祈祷していた。
あー… もしもし?
ソコに写ってるの、通りすがりにちょっと自己主張してみた、ただのオチャメさんだヨ?
悪霊でもないし、憑いてもいないヨ?
それどころか自称霊能者サン?
アンタの肩に、変な女が乗っかってマスケド?
全く…
阿漕な商売やってやがンな。
…
あれ?
いやいや、待てよ?
(このチカラって…
金になンじゃね?)
私に神が降りた。
私には結婚願望はなかった。
自由な身のまま、その時々で気に入った男と、愛と人生を謳歌して生きていくことを望んでいた。
保証も安定もいらない。
子供を授かることはないのだから。
だから私は、一人で生きていける経済力が欲しかった。
その為には、このチカラはうってつけかも知れない。
興味があって個人的に学んでいたので、心理学の知識もある。
一発、霊能者になってやろう…