嗤うケダモノ
『日向が由仁の首を絞めて脅し ムリヤリ入部を認めさせた』
ハイ、こーなりマシタ!
それで、この事態。
いつも刺すような視線を浴びてマスヨ。
いつも陰口叩かれてマスヨ。
イヤガラセだってあるンデスヨ?
藤ヶ丘高校は良家の子女や成績上位者が通う、品のいい学校だ。
呼び出してリンチ、なんてコトはあり得ない。
じゃあイヤガラセとはナニカ。
毎朝、上靴に一粒だけ画鋲が入っているのだ。
一日一善ならぬ、一日一画鋲…
…
ナンジャソリャ─────??!!
ナニ?!
その地味で陰険なイヤガラセ?!
余計ストレス溜まるわ!
反撃できる分、リンチのほうがまだマシだわ!
苛立ちを鋼の精神で抑制した日向は、いつも通り静かに教室の引き戸を開けた。
すると、どことなく変化する室内の空気。
最近、クラスメートとの距離も微妙に開いてしまっている。
まぁ、コレはいいンだケド。
そもそもお上品な雰囲気に馴染めなくて、一人でいることが多かったから。
唯一態度が変わらないのは…
「おはよう、木崎さん。」
声を掛けてきた彼、クラス委員のタニグチくんだけだ。