嗤うケダモノ
うん、わかってる。
短絡的デスヨネー?
窮地を救ってくれた白馬の王子と初めてのキスをしちゃって、アッサリ惚れるとかネー?
シチュエーションに酔ってるとしか、思えないよネー?
でもさー…
どんなに机の角にヘッドバットしても、目が醒めないの。
あんなに怖かったジャ●アンズの顔はキレイサッパリ記憶からデリートされたのに、あの男だけは消えてくれないの。
スマートに相手を出し抜き、いとも簡単に私を救った男。
流れるような動作で警戒する暇も与えず、いとも簡単に私の唇を奪った男。
妖艶に嗤うケダモノ‥‥‥
コレを恋と呼ばずしてなんと言う?
でもこの恋は、始まると同時に終わった恋だというコトもわかっていた。
だって彼は絶対にオトナだ。
なんだったら、ホストだ。
足がチャリンコだったり、ヘッドランプ装備で心霊スポットを本気探検してみたり…
どことなく少年臭さも感じるケド。
少なくとも、中二のクソガキと釣り合うような年齢ではないだろう。
あんな強烈な色気、十代で出せたら犯罪だよ、まじで。
もう二度と会うコトはない。
会えたとしても手は届かない。
だけど私は、彼が言った『イイ女』を目指そうと決めた。
彼を、初恋の人を、ずっと忘れないように‥‥‥