嗤うケダモノ
まぁ、そのほうが彼らしい。
だが、たとえ『オネガイ☆』だったとしても、この空気はなんともならない。
「スンマセンっ!
私、ちょっと行ってきます!」
日向は食べかけのラーメンを放置して、食堂を飛び出した。
徐々に戻ってくる喧騒。
「ふん… なかなかイイ手だ。
学校中の目があれば、もう誰も一年女子には手出しできないだろうな。」
日向を追って食堂を出て行くいくつかの団体様を横目で見ながら、樹はランチセットの味噌汁を一口啜った。
樹と同じ方向を呆れたように見ていた百合も、汁椀に口をつける。
「ソレだけじゃすまないンじゃナイ?
わかりやすーく怒ってたし。」
「そうかもな。
だが… 公開告白とは… クっ」
「‥‥‥フフっ」
同じタイミングで揺れる肩。
「やりやがったな、アイツ。
他の男共への牽制も、まとめて完了だ。」
「必死なンじゃん?
ベタ惚れだよね。」
本当に気の合う二人。
笑顔を交わした樹と百合は、やはり同時にご飯の盛られた器に手を伸ばした。