嗤うケダモノ

って、え?
まじで?

霊、視えるようになったの?

今までの数々の苦労が、やっと報われたの?


「いや、むしろ逆じゃな。
これまでも、おぬしに潜む九尾の気配で霊が寄って来んかったンじゃ。
今となってはおぬし自身が九尾のようなモノ。
よほど強力な霊でなければ、とっとと逃げて顔も見せてくれんわ。」


「強力な霊ってー?」


「道真公とか?」


「…
ソレ、霊ってか神じゃん。」


‥‥‥残念。

空狐の返事を聞いた由仁は、肩を落として溜め息を吐いた。
そして、屏風にタオルを引っ掛けてベッドに寝転がる。

もうご就寝デスカ?

いや、そんなハズはない。

空狐は由仁の次の言葉を待った。


「…
じゃ、アレはナニ?
受験の神様なんかじゃねェよな?」


静寂に紛れる、低い声。


「生霊じゃ。」


長い顎髭を引っ張った空狐も、神妙な面持ちで答えた。

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