嗤うケダモノ
「どうしてあんなコトをした?
確実に怒らせてしまったぞ。
あの様子じゃ、今夜はヒナちゃんの元ではなく、ココに…」
空狐は険しく顔を歪めてボヤいた。
あら?
生霊どころか、空狐まで怒らせちゃった?
「だからだよー。
わざと嫉妬煽って、俺ンちにご招待したの。」
ベッドの上で足をバタつかせながら、由仁はノンキに答えた。
由仁が日向を抱き寄せた時、タニグチくんは戸惑っていた。
だが、生霊は眉を吊り上げた。
由仁が日向にキスした時、タニグチくんは赤面して逃げた。
だが、生霊は振り返り、いつまでも由仁を睨んでいた。
憎悪の炎を灯した瞳で。
きっと今夜はココに来る。
ひょっとしたら殺意を抱いて。
それでも、ね。
「無自覚で記憶が残ってナイにしたって、ヒナの寝顔覗き見してるとか許せないしー。」
明らかに不貞腐れた由仁の声。
だが表情は見えない。
由仁と空狐は、屏風に隔てられている。
「わかっていて呼んだのか?
なんというコトを…
おぬし、いったいどうするつもりじゃ?」
「んー… どーしよっカナー。
あ、ジーチャンは手ェ出さないでネー。」