嗤うケダモノ
「アンタ、バカなの?
そのカッコはナイわー。」
ハイ、罵られた。
着替えを終えた日向がリビングに入った途端、ナゼかさっきより化粧が濃くなった姉が盛大に溜め息を吐いた。
てか…
オカーサン? オネーサン?
ナンデ二人して先輩取り囲んでンの?
ナンデ乙女のように頬染めてンの?
オトーサンがますます干物になってンじゃねーかよ。
「…コレでイイのよ。」
一瞬自らに視線を落とした日向だったが、すぐに顎を反らして反抗的に言い切った。
フェイクレザーのショーパン(黒)。
某遊び人ブランドのウサギのロゴが入ったカットソー(白)。
ダウンジャケット(黒)。
以上が本日のコーディネートでございます。
ナニが悪い。
…
いや、ネ?
ほんとはわかってンだよ?
妖艶系先輩に合わせて、ちょっとオトナっぽくしたほうがイイとか。
ナチュラル系先輩に合わせて、ふんわり森ガールっぽくしたほうがイイとか。
でもそーゆーの、付け焼き刃って言うか…
媚びてるダケって言うか…
ムリしても似合わないし、きっとすぐにボロが出る。