嗤うケダモノ

コレが私。
今の私。

呆れて帰ってくれてもイイよ。



イイよぉぉぅぉぅぉ… ← 号泣

『あらー スミマセンねー
ガサツな娘で』

『この前買ったニットワンピ貸したげるから』

近いはずのお母さんとお姉ちゃんの声が、やけに遠く聞こえる。

ソファーに座っていた先輩が立ち上がるのが、やけにスローモーションに見える。

‥‥‥やっぱ帰っちゃうカナ。


「ガサツでもないし、ニットワンピもいりません。
こーゆー彼女がいいンです。」


俯いてしまった日向の耳に、甘く掠れたセクシーボイスが響いた。

視線を上げると、ソコには差し伸べられた大きな手。


「おいで。」


催眠術にかかったように足を踏み出すと、フワリと肩を抱き寄せられる。


「ヒナのためのヒナ、だもんネー?」


艶のある微笑みに、一同ノックアウト。

丁寧な挨拶を右から左に聞き流し、お見送りもできず、二人が出て行ってしばらく経った後、干物がポツリと呟いた。


「娘をよろしくお願いします…」

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