嗤うケダモノ

『似合わなーい』って思ってンだろ、とか。
『残念カノジョ』って思ってンだろ、とか。

そんな風にも感じられる周囲からの視線は、すぐに気にならなくなった。

彼が、あまりにも私ダケを見ていたから。

彼はお洒落なカフェなんかよりも、落ち着いた静かな店が好きだと言った。

彼お薦めの昔ながらの喫茶店で食べたオムライスは、本当に美味しかった。

彼は格ゲーが得意だと言った。
口だけだったので、フルボッコにしてしまった。

ムキになって何度も挑んでくる彼は、コドモみたいで可愛かった。

彼は川原でボーっとするのも好きだと言った。

ファーストフード店で買ったポテトを川原で撒くと、スズメがたくさん寄ってきた。
ちょっとしたヒッチコックの『鳥』気分を味わえた。

甘い香りの正体は香水ではなく部屋で焚いている白檀のお香。

Nudie Jeansのデニムがお気に入り。

アクセサリー類にはあんまり興味がナイ。

フワフワと毛先が遊ぶ髪は、パーマではなくクセ毛と寝グセのコラボ。

今日もたくさんの彼を知った。

彼は自分を飾らず、自然体で生きている人だった。

なんつーか… その…

好──き──だぁぁぁぁぁ!!!

ますます好きだぁぁぁぁぁ!!!

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