嗤うケダモノ

「…
そろそろなついてくれたと思ったンだケドなー…」


なつく、て。
動物の餌付けか。

結局スタ●ドは出さず、足を止めた由仁は困った顔で下唇を引っ張った。


「ヒナ、俺のコト嫌いー?」


「きっっ?!
キライじゃねーデスケドも?!」


真っ赤になった日向の声が裏返る。

って、テンプレじゃねェか。


「じゃ、好き?」


「す…すすすきゃきゃきゃ…
そそそーゆー問題じゃなく…
わわ私と先輩は、付き合ってるワケじゃなくて… だから…
だか…ら‥‥‥
だからナンナンダぁぁぁ??!!」


カットソーの胸元をイジイジしながらモゴモゴ呟いていた日向は、とうとう頭を抱えて絶叫した。


(しまったぁぁぁ!
コレじゃ… コレじゃまるで…)


お付き合いを迫ってるみてェじゃねーデスカ─────?!

なんてコト言っちゃってンの?!

こんなん、面倒臭い女じゃん。

こんなコトになるなら、好きって叫んで玉砕したほうがマシだった─────!!

あぁ… もーダメ。
泣きそう‥‥‥

< 178 / 498 >

この作品をシェア

pagetop