嗤うケダモノ
「木崎日向さん。」
日が落ちた静かな公園に、由仁の声だけが響く。
てか、ナンナノ?
その改まった呼び掛けは。
そーゆーの、一番ヤだ。
トドメなら、軽く笑って刺してほしい。
「好きです。
俺と付き合ってください。」
『バカだよネー』で、もーイイから。
『好き』とか。
『付き合って』とか。
もう二度と浮上できな…
…
…
…
ん?
んんんんん??!!
史上最悪のマヌケ面を上げると 笑みの欠片もない由仁の顔。
見たコトもない、真剣な彼の…
「好きだよ、ヒナ。
‥‥‥ダメ?」
「~~~!! っっ~!
だっダメじゃねーデスぅ…」
とうとう赤く染まった日向の頬に、涙が滑り落ちた。
あぁ、ウザい。
その上カワイくない。
正真正銘のバカ女。
なのに彼は嬉しそうに微笑んで バカ女に手を伸ばす。
大事なモノを扱うように、優しく優しく抱きしめる。