嗤うケダモノ
弐
(なんつーか… 白い…)
上を見ても。
下を見ても。
横を見ても。
見渡す限り、果てしない白。
明るいのに、自分の影すら見当たらないヨ?
白い世界に立ち尽くした由仁は 軽く首を傾げた。
ナニ?コレ。
ドコ?ココ。
なんでこんなトコにいるンだっけ?
えーと…
ヒナを送って家に帰って、メシ食って、風呂入って、部屋でゴロゴロして、寝た。
てコトは、ココは夢の中。
(…つまんないのー。)
唇を尖らせた由仁は、腕を頭の後ろに組んで、存在するのかしないのかよくわからない白い床にゴロリと寝転がった。
溜め息を漏らして目を閉じる。
なーんにもナイとか。
なんて愛想のない夢だ。
つまんないにも程だろ。
ヒナが出てきてくれたらナー。
二人キリの世界を堪能できるのにナー。
自分の夢なンだから、念じれば出てきてくれるカナ?
(ヒナー、ヒナー、ヒナー…)
「ごめーん。
今夜は俺でガマンしてー。」
やけに聞き慣れた声が、由仁の耳に届いた。