嗤うケダモノ
ダメだ、こりゃ。
ダベって1ページ費やしちゃったよ。
コイツに任せてたら、話が進まねェよ。
しょーがないから、通常運転でいきマスカ。
えーっと…
「樹、帰ろー。」
時は放課後。
二年一組の教室のドアが、勢いよく開かれた。
長い栗色の髪を揺らして顔を覗かせたのは、二年二組の吉岡 百合(ヨシオカ ユリ)だ。
彼女のカレシである黒ぶちメガネのクール系男子、東堂 樹(トウドウ イツキ)を迎えにきたのだが…
「悪いな、先に帰ってくれ。」
ハイ、断られた。
またかよ…
眉を顰めた百合はズカズカと教室に入り、樹が座った椅子の後ろの席にいる男の頭にドカっとスクールバッグを乗せた。
「ジン!
アンタ、いつになったら夏休みの課題終わンの?!
そんで私は、いつになったら樹と一緒に帰れンの?!」
「重いー。
余計バカになるー。」
フルフルと頭を振り、情けない顔で振り返ったのは…
由仁だ。
やっと話が転がりだしたよ。