嗤うケダモノ
杏子の話を聞いてから、ずっと気になっていたのだ。
色々な誰かの色々な犠牲の上に 自分の命があるコト。
その色々な誰かは、どうして色々な犠牲を払ったのカナってコト。
後悔していないのカナってコト…
まーとりあえず、ココにいる『俺』は『俺』でいるコトを嫌がってはいないようだから、少しは気が楽になった。
由仁は安堵の溜め息を吐き出して、薄く微笑んだ。
だが…
「そんなコトより、君さー…」
隣の由仁は、なんだかご機嫌ナナメ。
眉根を寄せて由仁を睨んだ。
「『天井裏』はダメ。
アレはやっちゃダメー。」
「えー?
ダメなの? 降霊術。」
「他のはスキにすればイイよ?
どーせダレも寄りつかないケドネー。」
「あー… そーなの?」
会いに行っても逃げられちゃうならいっそ呼んでやれ、なんて考えたのに…
無駄デスカ。
ソーデスカ。
トコトン幽霊とは縁がナイみたい。
由仁はガックリと肩を落とした。