嗤うケダモノ
「…
まさかクリスマスに心霊スポット探検っスか…」
バイクで走るコト数十分。
辿り着いた場所でヘルメットを脱いだ日向が、顔を引きつらせながら言った。
うん。
そんな誤解も生じマスヨネー?
だってココは山の中。
夜景スポットなんかじゃねーよ?
民家の明かりすらない、正真正銘の山の中。
「んーん。
ソコまでバカじゃないしー。」
軽く首を振った由仁が、得意満面でニンマリ笑いながら…
「今から、ヒナのためだけのイルミネーションを、お目にかけまショー。」
バイクのエンジンを止めた。
ライトが消えると、真っ暗闇。
目を閉じて深呼吸した由仁は、空に向けた掌に狐火を灯した。
瞼を上げると、青白い光に浮かび上がる息を飲む日向の表情。
「だいじょぶ、だいじょぶ。
コレ、熱くナイからー。」
白い歯を見せた由仁が、ニヒヒと笑う。
って、いやいや…
確かにソレも心配だケドも。
アンタ、目ェ金色だよ?
顔に隈取り出てるよ?
九尾全開じゃねーかよ。