嗤うケダモノ
日向の不安と戸惑いをよそに、由仁は灯った炎をもう片方の手にも移した。
掌の上で、みるみる大きく燃え上がる炎。
え…
コレ、どーすンの?
最終的に自分燃やして、『人体発火イルミネーション!』なんて言ったりしないよネ?
ソコまでバカじゃないンだもんネ?
いやいや、バカかも────?!
「せせせ先ぱ っ?!」
悩める日向が由仁に手を伸ばした瞬間、彼は暗い空に向かって巨大な炎を放った。
そしてその炎は‥‥‥消えた。
またしても、真っ暗闇。
「ヒナ、見てて。」
闇の中から聞こえる、甘く掠れたセクシーボイス。
それから、パチンと指を鳴らす音…
「あ…」
空を見上げた日向は、両手で口元を覆って言葉を失った。
小さな白い光が降ってくる。
いくつも、いくつも、降ってくる。
二人の上に。
木々の上に。
降って、積もって、優しく瞬いて…
まるで雪のよう‥‥‥