嗤うケダモノ

ロッカーで細くなった入り口に身を縮めて立つ、柔道部員×2。
ソファーの隅っこに身を縮めて座る、柔道部員×1。

年も明けて寒さも真っ盛りな季節だってのに、室温上昇しすぎじゃねーか。

あぁ、耐えられない。

この、男臭い熱気に耐えられない。

それに不満はまだあるの。

その中に、日向に金的キックで撃退された部長がいンだよ。

今もビミョーに熱い眼差しでチラ見してくンだよ。

余計耐えられな─────い!!

もー勘弁して。
ほんと、勘弁して。

日向だって迷惑してたハズなのに、いったいどーして…

由仁が恨めしそうな上目遣いで日向を見ると、彼女はサラっととんでもないコトを言った。


「仲がイイって言うか…
部長さんとは、私が先輩の写真を横流しして、荒稼ぎさせてもらってる関係デス。」


まじで?!

由仁は跳ねた毛先を揺らしながらガクリと項垂れた。


「…
ヒナに売られたー…」


「嘘デス。」


まじで?!

顔を上げた由仁の目に映ったのは、日向の微笑み。

それはそれは、悪戯そうな…

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