嗤うケダモノ

由仁が、日向からヨコタさんに視線を移す。

ボーイッシュで、なかなかキレイな顔立ちの女のコだ。

汗臭ーい柔道部マネとか…
ちょっともったいないよーな…

…ん?

あら?
ヨコタ?


「あー…
君、ヨコタ先輩の…」


「ご存知でしたか。
なら、話は早いですね。」


由仁が頭を掻きながらポツリと漏らした言葉に、ヨコタさんは頷いた。

少し寂しそうに。
でも、すぐに毅然と顔を上げて。


「私は、去年死んだ元柔道部部長・ヨコタの妹です。
メールを送ってくるのは…
兄なンです。」


(ヤられた…)


由仁は盛大に舌打ちしたいキモチで、再びガクリと項垂れた。

『大好きだった死んだお兄ちゃんからのメール(泣)』
とか…

そんなコト知っちゃったら、話 聞かざるを得ねーじゃねーデスカ。

こーゆーのって、関わると大抵めんどくさーいコトになるのに…

こりゃ、完全にハメられた。

いや、意図的にハメたワケじゃないンだろーケド…

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