嗤うケダモノ

ヨコタ先輩は、藤ヶ丘高校柔道部のOBだ。

主将として華々しい成績を残して引退した、言わば柔道部の英雄。

そして…

卒業して間もない去年の夏、彼は亡くなった。

将来を有望視されていた彼の葬儀には、大勢の人が参列したという。
もちろん、後輩である現・柔道部員たちも。

誰もが涙し、彼の死を悼んだ。

彼の死因は交通事故だった。
その事故自体には、不審な点は見当たらなかった。

正真正銘、不運な事故死。

なのに…

冬の始め頃、一通のメールが妹であるヨコタさんの携帯に届いた。

『俺は呪いに殺された』

と。

『柔道部は呪われている』
『部員Aの捻挫が治らないのも 呪いが原因だ』
『次の大会には出場するな』
『負傷者だけでは済まないぞ』
etc etc…


(はぁーん…)


頬杖をついてスマホの液晶画面を眺めていた由仁は、ふと顔を上げて部長を見た。


「ねー、次の大会ってー?」


「ぅおっ?!/////
俺? 俺か?///」




赤くなってる場合じゃねーよ、部長くん。

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