嗤うケダモノ
「んー…
疑うってより、確信してた。
具体的な被害って、君の捻挫ダケだったし。」
「…」
「他人のケガを挙げてアッサリ治っちゃったら呪いも形無しだケド、自分のコトならいくらでもコントロールできちゃうもんネー?」
「…」
「で?
熱血部長サンじゃなくてヨコタさんにメール送ってたのは、アレ?
女のコのほうが、騒いでくれそーだからってカンジー?」
うん。
全てにおいて大正解。
ヘラヘラと軽ーい口調で。
ヘラヘラと軽ーく笑いながら。
由仁は呪いの正体を暴いていく。
(さて…
どうしてやろうか、このヘナチョコ。)
Aくんは黙り込んだまま、危険な考えを巡らせていた。
こんな調子で部長にペロっと報告されては、せっかくでっちあげた『大会を欠場する理由』が水泡に帰す。
いや、それだけでは済まない。
間違いなく部を追い出される。
ソレは絶対に嫌だ。
なんとかして発覚を阻止しなければ。
この男を黙らせなければ…