嗤うケダモノ

「…好きなように…?」


我に返ったように目を見開いたAくんが小さく呟いた。

それにコクコク頷きながら、由仁が答える。


「そーそー。
外野の声なんて放っといて、君のしたいよーにすれば?
君、柔道スキなのー?」


「‥‥‥俺は…」


「まー、どーでもいーや。」


聞いといてソレか。
あんまりだろ、おい。

しゃがみこんだままのAくんに歩み寄った由仁が、彼に右手を差し出した。


「早く起きて。
君のコトはともかく、とっとと呪いを終わらせるよー。」


「あ…」


青ざめたAくんが、唇を噛み締める。

そうだ。
もう言い逃れはできない。

部長に、マネージャーに、今から全てを明かして…

苦痛に耐えるように、Aくんが固く目を閉じる。
だがすぐに意を決し、由仁の手を取って立ち上がった。


「わかりました。
俺、今から部長に」


「サクっと畳起こしちゃって?
ちゃんと、撮った写真通りに戻してネー。」

< 237 / 498 >

この作品をシェア

pagetop