嗤うケダモノ
「…好きなように…?」
我に返ったように目を見開いたAくんが小さく呟いた。
それにコクコク頷きながら、由仁が答える。
「そーそー。
外野の声なんて放っといて、君のしたいよーにすれば?
君、柔道スキなのー?」
「‥‥‥俺は…」
「まー、どーでもいーや。」
聞いといてソレか。
あんまりだろ、おい。
しゃがみこんだままのAくんに歩み寄った由仁が、彼に右手を差し出した。
「早く起きて。
君のコトはともかく、とっとと呪いを終わらせるよー。」
「あ…」
青ざめたAくんが、唇を噛み締める。
そうだ。
もう言い逃れはできない。
部長に、マネージャーに、今から全てを明かして…
苦痛に耐えるように、Aくんが固く目を閉じる。
だがすぐに意を決し、由仁の手を取って立ち上がった。
「わかりました。
俺、今から部長に」
「サクっと畳起こしちゃって?
ちゃんと、撮った写真通りに戻してネー。」