嗤うケダモノ
悲壮な決意表明を軽ーく遮った由仁を見て、Aくんは目を瞬かせた。
あ、日向サンもだネ。
パチパチしてるネ。
だってさー…
片付け優先なの?
報告&謝罪は後回しなの?
でもって、なんで今さら写真が出てくンの?
由仁は溜め息を一つ吐いた後、立ち尽くすAくんを強い眼差しで見据えた。
「『ごめーん、テヘペロ☆』で終わるワケないでショ?
君は、ついちゃいけない嘘をついたンだ。」
大きな身体をビクリと揺らしたAくんがさっきよりも蒼白になるが、由仁は止まらない。
薄い唇が、さらに厳しい言葉を紡ぎ続ける。
「謝って、どーなンの?
真実語って、どーなンの?
そんなの、ヨコタ先輩を慕う人たちをもっと傷つけるだけだ。
この嘘は、死ぬまでつき通せ。
嘘に嘘を重ねなきゃいけない事態になって、苦しむ日が来たとしても、墓場まで持って行け。
毒を食らわば皿まで。
ソレが男のケジメでショ?」
最後に由仁は世にも艶然と微笑んだ。
胸をつかれたように、Aくんが黙り込む。
嘘をつき続けて『真実』という夢を大切な人たちに与える。
ソレが、ついてはいけない嘘をついた者の責任。
ソレが、この男の言うケジメ。