嗤うケダモノ

「…
ナニをすればいいンですか?」


深く息を吐き出してから、Aくんはシッカリした口調で由仁に訊ねた。

ケジメをつけなければ。
自分のしでかしてしまったコトに。

Aくんの眼差しには、さっきまではなかった強い決意が込められている。

ソレを見た由仁は…


「だいじょぶ、だいじょぶ。
俺も共犯なンだから。
そんなに固くならないのー。」


眉をハの字にしてヘラっと笑った。

それから、まだ扉の近くにいる日向を振り返って言う。


「てなワケだから、ヒナはココで退場ー。
ちなみに、ナニも見てない。
ナニも聞いてない。
わかるヨネー?」


(いや… わかるケド…)


日向は由仁の微笑みを無言で見つめて…
回れ右をして、静かに用具入れの引き戸を閉じた。


「イヤです。」




ハイ、キタコレ。
明確な拒否。

一瞬、Aくんと視線を交わした由仁は、眉根を寄せて下唇を引っ張った。

こりゃ困ったコトになったカモ…

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