嗤うケダモノ
わかっちゃう?って…
ナニソレ?
カノジョ奪られて嬉しいの?
眉をひそめるAくんに、笑みを深くした由仁は軽く右手を振った。
「違うの。
奪られたのは、悔しーよ?
でもネ? ほら…
ヒナって可愛いじゃん?」
「…はぁ。」
「なのに誤解されやすいコだから、心配だったンだよネー。
イイ友達が出来たみたいで、よかったナーって。」
「‥‥‥はぁ。」
由仁の感慨は、Aくんにはわからない。
そもそも、日向の『可愛い』がわからない。
だって彼の中では『日向=荒武者』だから。
曖昧に頷いたAくんは、声を落として本題を切り出した。
「先輩…
昨日あれから、用具入れに戻ったりしました?」
「ん? んーん。
昨日はヒナとすぐに帰ったー。
‥‥‥‥‥フフっ」
帰ってからのひと時を思い出した由仁が、親指でしどけなく唇を撫でながら微笑む。
だがAくんは、誰もが赤面しそうな艶やかな仕草を見て…
一気に青ざめた。
「じゃあ…
アレはやっぱり…」