嗤うケダモノ

いやいや…
そんなワケねーだろ。

だってヤツは肉食獣だよ?
ペガサス(笑)の皮を被ったケダモノなンだよ?

ガンガン攻めてきたンだろ。
ガツガツ食ってきたンだろ。

‥‥‥だろ?


「…
そうなンですか…?」


上目遣いでチラリと百合を見た日向が、おずおずと訊ねた。

本当はこーゆーの、スゴく恥ずかしい。
それに過去の女性関係を詮索するなんて、好きな人を信じてないみたいで最低だと思う。

でも…

初めて抱かれたあの時、あまりの緊張でナニがナニやらわからなかった自分とは対照的に、彼は余裕に見えた。

学園祭でも、知り合いらしい女のコに絶えず声を掛けられていた。

堪らなく不安になった。

彼を好きになればなるほど。
彼に溺れれば溺れるほど。

不安は胸を埋め尽くした。
今日の雨空のように。

彼の心の中には、どれくらいの女のコが住んでるの?
私はどれくらいのウエートを占めてるの?

昔は? 今は? これからは?

知りたくて、知りたくて、頭がオカシクなりそう…


「…そうだよ。
ジンにとって、日向は特別。」


縋るような日向の視線に、百合は穏やかな笑顔を返した。

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