嗤うケダモノ
由仁は小学校低学年の頃から
『知らないオネーサンとデートして、おこづかいもらっちゃったー』
なんて武勇伝を数多く持つマセガキだった。
犯罪だろ、ソレ。
中学校に上がると、保健室の先生から、逆ナンOLから、近所の若奥さんまで幅広く食い散らかして…
すぐに飽きた。
やっぱ犯罪だろ。
ドッチが被害者かは、もはや微妙だケドさ。
誘われれば乗っかって、イタシちゃったら興味をなくす。
頽廃的、且つ刹那的。
そんな、とても恋愛とは呼べないような捕食行動を、彼は繰り返していた。
だが、痴情の縺れ的なトラブルは発生しなかった。
相手だって、彼の容姿と色香にのぼせ上がっただけ。
彼という人間を求めたわけではないのだ。
だから情が移る前に関係を断てば、すぐに目が覚める。
その辺りを狙って、彼はフェードアウトが難しそうな同世代のコには手を出さなかった。
なんという知能犯。
「…
遊び人通り越して、食虫花みてーな人っスね…」
日向はカっスカスに枯れきった声で虚ろに呟いた。
だって、そーだろ。
甘い香りに寄ってきた虫を、片っ端から食っちゃうンだから。