嗤うケダモノ
「ハハ。
ウマいコト言うねー。」
日向の言葉に、百合は手を打ち鳴らして笑った。
「確かに、ジンにとっては恋どころか遊びですらなかったと思う。
なんでも思い通りになるような相手なんて、つまんないって言ってたし…フフフっ」
『フフフ』て…
楽しそーにしてンなよ。
全くもって笑えねェよ。
むしろ泣きそーだよ…
頬を膨らませた日向が、涙目で百合を睨む。
すると百合は
「いやーん、カワイー!
そーゆー顔もカワイー!」
なんてホザきながら、日向に抱きついた。
そして日向の耳元で、内緒話をするようにそっと囁く。
「もっとカワイー顔見たいから 最後まで聞いて?
ジンは変わったのよ。」
「…変わった?」
「そう、中三の時よ。
急に誰も受け入れなくなって、草食男子なんて呼ばれるようになって…」
「…
うっそだぁ…」
眉をひそめた日向が、小さな唇を尖らせた。
疑わしいにも程だろ、ソレ。