嗤うケダモノ

百合は涙目で唸る日向の頭を撫でながら、床に落ちて転がったモノを拾い上げた。

日向のHPを削ったソレは…


「ん? 箱?」


随分古びて色褪せてはいるが、精巧な寄せ木細工の美しい箱だった。

だが、箱と言っても蓋がナイ。
開けるトコロが見当たらナイ。


「ナンスカ?ソレ?」


ダメージから多少回復した日向が、百合の手元を覗き込んで訊ねた。


「秘密箱ってヤツじゃない?」


「秘密箱?」


「工芸品よ。
パズルになってて、手順通りに動かさないと開かないの。」


答えながら、掌サイズの箱をクルクル回し、ところどころスライドさせてゆく百合。

だが、なかなか開かない。


「うーん…
何回仕掛けなンだろ?」


「先輩!
私もやってみたい!」


首を捻る百合に、目を輝かした日向が両手を差し出した。

うん。
カワイくなってる。

こんなモノでも、少しは気分転換になるカナ?

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