嗤うケダモノ
「え… ちょ、あんた…」
「私は、先輩とも自分のキモチともちゃんと向き合うから。
こう思えるキッカケを提供してくれたのは感謝してるケド、私はアンタとは違うから。
アンタと心中する気はねーから。」
「やめ…
放して、放して…」
「帰ってイイでショ?ね?
私、不安をブツける以前に、先輩にスっゲェ大事なコト伝えそびれてるのに気づいたワケ。
言わなきゃなンないの。ね?
帰ンなきゃなンないの。ね?
わかンだろ?ねェェェェェ?!」
目を血走らせ、グイグイ顔を寄せながら女を揺さぶる日向。
ガクガク揺れながら、日向の迫力に怯えて青ざめる女。
コエぇのは君だよ、日向サン。
人をとり殺すようなユーレー脅してどーすンの。
「わかった、わかったから!」
女は、荒武者どころか鬼と化した日向から必死で顔を背け、悲鳴を上げた。
「帰してくれンの?
生き返れンの?」
「まだ死んじゃいないったら。
安心しな。
もうじきわちきは壊れるから。」
「壊れる?」
小首を傾げた日向は、やっと女の襟から手を放した。