嗤うケダモノ
小さな唇を震わせながら、大粒の涙を零し始める日向。
そんな彼女を見て目を瞬かせた由仁は…
「…
ヒナって、バカだよねー。」
日向の髪に指を絡ませて、笑みを含んだ声で囁いた。
「俺がヒナから離れるワケねーじゃん。
てか、俺がヒナを手放すワケねーじゃん?」
滑らかな頬に唇を寄せ、涙を一粒吸い取って。
顎に伝う雫も舐め取って。
「好きだよ、ヒナ。
ヒナが思ってるより、もっと。
ヒナが思ってるより、ずっと前から。
俺、ヒナが好き。大好き。」
啄むように唇に触れて…
もーちょっと堪能しても、許されるよネー?
なんて、由仁がアッサリ煩悩に身を任せようとした時、獲物の震える唇が小さく動いた。
「先輩… 好きです…」
…
…
…
ぱーどぅん?
「‥‥‥‥‥ナンテ?」
由仁は少しだけ距離を取り、日向をマジマジと見つめた。