嗤うケダモノ
「コレなンですケド…」
足元に置いたスクールバッグを漁った日向が、四つに裂かれた紙を由仁に差し出した。
うん。
あるね、鳥居。
例のコックリ用紙の残骸か。
「ナニカ、感じますか?」
「えー?
ナニカって言われてもナー…」
裂かれた紙を一応受け取ってヒラヒラと振った由仁は、眉をハの字にして苦笑した。
「俺、幽霊なんて見たコトねェし。
たぶん霊感0だよ?」
え?
ヘッドランプ装備して、本気探検しといてか?
(逆に気の毒だな、おい。)
日向は出かかった言葉をなんとか飲み込んだ。
そして、最近仕入れた別の情報を口にする。
「でも、先輩が心霊写真を祓ってくれたって、隣のクラスのコに聞いたンですケド。」
「んー…
そんなコトもあったカナー…」
親指で下唇をなぞりながら、手にした紙に視線を落とす由仁。
日向は前髪を直すフリをして、さりげなく彼から目を逸らした。