嗤うケダモノ

シャツの襟を思いきり後ろに引っ張られ、由仁は無情にも日向から引き剥がされた。

って、なんなの?
ダレなの?

こんな無粋な真似をやっちゃうヤツは…


「ジン、『おあずけ』だ。
論文が終わっていない。」


あぁ… やっぱりデスカ。

振り向けば、渋い顔の樹。
それと、顔を背けて笑いを噛み殺している百合。


「ちょ… 冗談でショー?
今、絶対論文なんて書けねーから。
ナニ書いても、ヒナに捧げる愛の言葉になるから───!」


「ソレもいーンじゃない?
先生に添削してもらえば?」


「イ───ヤ─────??!!」


「ちなみに今夜はウチの病院に一泊だ。
一度は死んだワケだしな。」


「そんな?!
どーすりゃイーのー?!
俺の荒ぶるエクスカリバーはー?!」


「フハハハハ、気の毒に。
病室じゃ、自家発電もできまい。」


「イ──ヤ──だぁぁぁぁぁ!
ヒナ、助けて!ヒナぁぁぁ!!」


「先輩、身体は大事にしないと。
諦めやがってクダサイ。」


「嘘ぉぉぉぉぉん??!!」

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