嗤うケダモノ
何度も言うが、藤ヶ丘高校は有数の進学校だ。
学力考査ではかなりのレベルの成果を求められる。
だがそれは、生徒たちに限ったコトではない。
教師たちにも担当クラスの底上げが課せられる上、その成績が教師自身の評価や給与査定に直結するのだ。
地獄か。
だからテスト前は、教師も生徒も尻に火がついた状態。
今回、三年一組は特に。
どーしてかって?
中間テストの結果が散々だったからデスぅ。
成績順のクラス割りのクセに、二組に追い越されそーだからデスぅ。
百合が樹のノートを二組で拡散させたのが、原因なンですケドネー。
下からの追い上げがあるとは言え、自分たちの成績が落ちたワケではない一組生徒に、そこまでの焦りはナイ。
むしろ猛烈に焦ったのは担当教師。
脅迫観念と保身と、生徒を思う情熱の波にグっチャグチャに翻弄されて…
『よーし!
今回学年一位になった生徒に、俺のポケットマネーで豪華バカンスをプレゼントだ!
他のクラスには内緒だゾ☆』
なーんて言い出しちゃいましたYO!
当然、許されないヨネー?
そうと知ってはいても、オイシー話に食いついちゃうのが人のサガというモノでありまして…