嗤うケダモノ

何はともあれ、方向性は決まった。

二人で出来るバイトを見つけて。
夏休み中も毎日会って。
いっぱい遊んで。

最終的には旅行して。

ん?
受験ベンキョー?

その辺はスルーして。

後は、ほどほどに暇でそこそこ稼げるバイトを探さなきゃ。

そんな都合のいいバイト、あるカナー。
見つかりゃイイナー。

それはさておき、そろそろお腹がすいたナー…

って、まじで本能のままだな、おい。
本能しか装備してねェンだな。

多少の課題を残しながらも楽しい夏休みの青写真を描き終わった由仁は、夕飯を求めて部屋を出た。

軽く手摺に触れながら階段を下りて…

途中で足を止める。

玄関に、杏子とカズヨと、知らない女がいたから。

品がないわけではないが、どこかしら水商売の匂いがするその中年女は、明るい声で二人に退出の挨拶をしていた。


(…お客さん?)


珍しいな。
この家に客が来るなんて。

親戚?

いやいや。
親戚とか、今まで一度も会ったコトねーし。

霊媒の依頼人?

ソレもねーか。
私生活はオフリミットだから、家に来るハズねーし…

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