嗤うケダモノ

「…
ナンナンデスカ?」


「魔法の呪文ー。」


由仁は書き上がった半紙を適当に折り畳んだ。
そして、ヨイショなんて呟きながら立ち上がり、これまた無造作に折った半紙をおシリのポケットに捩じ込む。


「ポルターガイストの家、近いのー?」


「ハイ、まぁ…
え? あの?」


「今から行こっか。」


目を瞬かせた日向に、由仁は右手を差し出した。


「『お祓い』、やったげる。」


まじで?
霊感0なのに?

一抹の不安を残しながらも、日向は望みに縋るように由仁の手を取った。


「よろしくお願 っ?!」


立ち上がった途端、強く引かれた手。
前のめりになった身体を包み込む、見た目よりも逞しい腕。

驚いた日向が顔を上げると、獲物を捕らえたケダモノが笑っていた。


「うまくいったら、俺のオネガイも聞いてくれるヨネー?
可愛いバニーちゃん☆」


目眩がするほど妖艶に。

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