嗤うケダモノ

女が死んでいた川原は現存していたものの、古い鳥居は姿を消していた。

バスの本数も増え、土埃が舞い上がっていた宿への道はアスファルトで舗装されていた。

耕運機が我が物顔で占拠していた路肩には土産物屋が軒を連ね、その間を歩いて進んでいくと…

ハイ、キタコレ。

立派な門構えの、伝統的な高級旅館。

昔からの建物はほんの一部で、後は増改築部分ばっかのハズなのに
『老舗でございまーす♪』
的な雰囲気出してやがるよ。

ちなみに音声は、サ●エさんで再生されちゃいマシタYO!


「先生!
お待ちしておりました!」


数寄屋造りの玄関をくぐると、瑠璃子が畳に手をついて迎えてくれた。

あー…

ロビーも畳なの。
ひょっとして廊下もそーなの?

全館畳敷きってヤツなの?


(凄腕にも程だろ…)


脅威のビフォー・アフターに内心ちょっとビビりながらも、杏子は愛想良く微笑んだ。


「お言葉に甘えて、連れも一緒にお世話になります。」


「お連れ様も、遠路はるばるようこそお越し下さいました。
ごゆっくりご滞在下さいませ。」

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