嗤うケダモノ

やっぱ、もう少しファッションを見直すべき?なんて、カーキのタンクトップとダメージ加工が施された黒いスキニーパンツという自らの格好を、悄然と見下ろしていた日向の肩が…


「ねー、ねー、ヒナ。」


トントンと叩かれた。

叩いたのは、もちろん由仁。

なんだか瞳を輝かせながら、ナニカを指差している。

日向が視線を向けると、ソコには色鮮やかな浴衣が何着も飾られていた。


「この旅館、寝間着浴衣じゃない、フツーの浴衣の貸し出しもやってるみたいー。
ね、ね、借りない?
ヒナ、着付けできるー?」


「あー…
まぁ、浴衣くらいなら。」


「えー…」


あれ?

瞳の輝き、失せてンじゃん。
あからさまに肩落としてンじゃん。


「…
着れたらマズかったっスか?」


髪を揺らした日向が、捨てられた子犬のような哀れ極まりない表情で項垂れる由仁の顔を覗き込んだ。


「…
んーん、イーの。
でも、脱がすのは俺ね。
帯引っ張るから、ヒナはクルクル回ってネー。」


「‥‥‥は?」


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