嗤うケダモノ

なんだろ…

ヒトリゴト聞かれたみてェで、ハズカシーな、おい。

しかも完全否定とか。

さらにハズカシーじゃねーかよ、おい。


(完全否定の根拠はあンだろな?)


「鍵が紛失してしまっていて、座敷牢はもう開かないンです。」


不貞腐れぎみの由仁の心の声に、またも瑠璃子が的確に答えた。

って、エスパーなの?
この人が怪奇現象なの?

だけど…


「その鍵、いつなくなったンですか?」


質問を投げ掛けたのは、日向だ。

瑠璃子は、今までお行儀よく座っているだけだった日向が口を開いたコトに驚いたようだったが、すぐに愛想の良い笑顔を見せた。


「それが、よくわからないくらい昔の話なンですよ、木崎様。
私がこの家に嫁いできた時には、もう鍵はありませんでしたからねェ。」


なーるほど。

少なくともかれこれ15年間は、その座敷牢は開かずの間だったってコトだ。

だけど…

そう。
『 だ け ど 』なのだ。

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