嗤うケダモノ
参
夕飯は豪華で美味しかった。
温泉も開放的で気持ちよかった。
もちろん湯上がりで火照ったバニーちゃんは、むしゃぶりつきたくなるくらい可愛かった。
なのに、おあずけ。
隙を見て掻っ攫うどころか、キスすらままならない。
杏子と言う名のガード、強靭すぎ。
フラストレーション溜まりすぎ。
このままナニもなくバカンス終了とか、あり得ねェよ。
明日こそ。
明日こそは、必ず…
一人ぼっちの寂しいベッドの中、由仁が煩悩剥き出しの強い決意を抱いて夜は更け、そして明けた。
『ヒナ、起きてる?
一緒に散歩行こー』
目標達成への記念すべき第一歩。
由仁は身支度を整えてすぐ、日向にメールを送った。
昨夜は空狐とガッツリ呑んでたし。
それでなくても、朝は弱いし。
杏子が朝食前に起きているハズがない。
てか、朝食時間に起きてくるかどうかもビミョーなレベル。
ガードが全く機能しなくなるこの時間帯、逃す手はねェだろ。
(俺ってば、知能犯ー☆)
『知能犯』ってほどもヒネりのない思いつきにニンマリしながら、由仁は日向からの返信を待つ。
手の中でバイブレーション。
日向専用の着信音。
早朝お散歩デートへ、Let′s go☆