嗤うケダモノ
途中で声を落とした由仁の指摘に、タケルが怯む。
その隙を見逃さず、日向の肩から手を離した由仁は、サッサと靴を脱いで部屋に入り込んだ。
ちょ、おい…
コレはヒドい、邪悪な気が…
え? わかンのか?
窓を開けましょう、今すぐ!
お、おうっ!
奥から聞こえる、やっぱりドコか胡散臭い由仁の声。
なのに、ナゼか丸め込まれているタケルの声。
ユカと顔を見合わせた日向は、急いで靴を脱いで部屋の中に向かった。
「他の部屋の窓も開けて。」
久しぶりに光が入り、風通しもよくなったリビングで、由仁がタケルに指示を飛ばしている。
え…
ちょっとソレっぽい…
胡散臭くナイの?
「ヒナ、破った紙、出して。
後、線香なんかナイ?」
リビングの入り口に佇む女子二人を、由仁が振り返った。
突然話を振られたユカが、おずおずと口を開く。
「フレグランスってか…
スティックタイプのお香なら…」
「んー… じゃ、ソレで。」
イイのかよ?!
やっぱ胡散臭ェよ!
なのに、ユカまで神妙な顔で由仁に従いだす。