嗤うケダモノ
「んなモン知るか!
勝手に調べろ!」
「あなた! やめ… きゃっ?!」
「うるさい!
出てけ!出てけ!出てけ───!!!」
瑠璃子を突き飛ばした孝司郎が、足を踏み鳴らして喚いた。
興奮レベルMAXで、もうまともに話ができそうもない。
だが、無問題。
聞きたいコトは全て聞いた。
「わかりました。
では、私たちはこれで。」
杏子が涼しい顔で踵を返す。
由仁も涼しい顔で日向の手を引き、それに続く。
由仁に手を引かれた日向は…
一度だけ振り返り、孝司郎を見た。
彼は、杏子ではなく由仁を睨みつけていた。
狂気を宿した瞳で。
「思い出したよ。
後に起こったコトが強烈すぎて、すっかり記憶からブっ飛んでたケド。」
早足で裏庭を抜けて客室に向かう途中、杏子が硬い表情で呟いた。
後を追う由仁が首を傾げる。
「んー? ナニをー?」
「あのスニーカー…
川原で死んでた女が履いてた。」
…え?
まじで?
色々と、まじで?