嗤うケダモノ







嘘をつけ─────!!

ソレ、ついさっきペロっと書いてたヤツじゃねーかよ!

やっぱガチじゃねーよ!
胡散臭ェコト山の如しだよ!!


「北東の部屋に置いといてクダサイ。
鬼門なんで。
あ、壁に貼りつけたりしないで 本棚にでも挟んでおくといいデスヨー。」


「わ… 悪ィな、ナニからナニまで…
てか、疑っちまって、スンマセンデシタ。」


もっともらしいコトを言うペテン師に、すっかり心酔したタケルが頭を下げる。


「なんか…
ずっと身体にのし掛かってた重みが、キレイに消えたよ。
ほんとありがとネ。」


ペテン師を連れてきた日向の手を握りしめ、ユカが涙ぐむ。

…イイのか? コレ。

でも、負のオーラを発散していたタケルとユカの雰囲気は明るくなり、顔には笑みまで浮かんでいる…


(…ほんとにイイのか?)


満面の笑みで手を振る二人に見送られ。
満足そうに微笑む由仁に手を引かれ。

一人腑に落ちない顔をしながら 日向はアパートを後にした。

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