嗤うケダモノ
「…
ほんとに『お祓い』できたンデスカ?」
低い呟きが聞こえて振り向くと 斜め後ろに立つ日向が由仁を見上げていた。
ぅわぁ…
不信感剥き出しデスネ、その眼差し。
由仁は唇に苦笑いを浮かべながら日向にヘルメットを渡した。
「お祓いなんて、してねーし。
俺、そんなコトできねーし。」
「は?」
「てかさー…
そもそもあの二人、取り憑かれてねーし?」
「は… はぁぁぁ?! んむっ?!」
大声を上げた日向の口を、由仁が素早く塞いだ。
「やめて。
あの二人に聞かれると、効果がなくなっちゃう。」
効果ってナンダ?
『お祓い』してねーンだろ?
ワケがワカラン。
日向は口を塞ぐ大きな手をペチペチ叩き、解放を求めた。
「ぷはっ
スミマセン、大声出しません。
どーゆーコトなンですか?」
「もう心配ナイってコト。」
不安に瞳を揺らす日向を見下ろして、由仁は片目を閉じた。