嗤うケダモノ

『探さなきゃなンないモノ』
とは言いましても…

片付けられてしまった座敷牢の中には、本当にナニも残っていない。

それでも…
あるハズ、だろ?


「ねー、ヒナー。
もしも一人でココに閉じ込められたとして。
どーしても誰かに伝えたいコトがあったら、どーするー?」


四つん這いになって畳の合わせ目を確認しながら、由仁は日向に訊ねた。


「オッサンへの恨み言ですか?
なら、直接殴って伝えますケド。
近寄ってきた時がチャンスですね。」


「あー… そう?
殴っちゃうの?」


「ハイ。
フルボッコです。
警戒して近寄ってこなかったら、ダンテス方式で脱出してからフルボッコです。」


「ぅええ?!
ダンテスやっちゃうの?!」


なんというブレない心。

そりゃトンネルも開通するわ。
財宝も見つけるわ。
復讐も完遂するわ。

男前すぎてコエぇよ。

いやいや、話を戻そうか。
そーゆー意味じゃなくて…


「えとね、ヒナ?
あのオッサンじゃなくて。
別の、誰か特定の人に伝えたいコトがある時は、どーするー?」

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